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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/07/18 13:02, 提供元: フィスコ アイナボHD Research Memo(2):主力事業はタイルやサイディングの外壁工事と住設工事*13:02JST アイナボHD Research Memo(2):主力事業はタイルやサイディングの外壁工事と住設工事■事業概要 1. 事業内容 アイナボホールディングス<7539>の2025年9月期中間期末現在、純粋持株会社である同社の下、連結子会社8社、非連結子会社7社を擁してグループを形成している。事業セグメントは、戸建住宅事業と大型物件事業に区分される。 2024年9月期の各セグメントの売上高は戸建住宅事業74,684百万円(売上比率83.2%)、大型物件事業15,098百万円(同16.8%)、営業利益は戸建住宅事業2,803百万円、大型物件事業1,044百万円となった。 各事業は工事内容はほぼ同じだが、受注先(受注金額)の規模が異なる。前者は主に一般住宅用の工事で、中小ゼネコンや一般工務店などからの受注である。後者は主に大手ゼネコン等からの受注である。 両事業にはそれぞれサブセグメントがある。戸建住宅事業は外壁工事、住設工事、建材販売、住設販売に、大型物件事業はタイル販売・工事、住設販売・工事にそれぞれ分かれる。2024年9月期における各サブセグメントの連結売上高に対する比率は、戸建住宅事業の外壁工事が18.8%、住設工事が25.8%、建材販売が18.2%、住設販売が20.4%、大型物件事業のタイル販売・工事が5.8%、住設販売・工事が11.0%となっている。 2. セグメント及びサブセグメントの概要 (1) 戸建住宅事業 主に地場の中小ゼネコンや工務店、ハウスメーカーやビルダーから受注する案件※を主に扱っている。施主からの直接受注は少ない。 ※ 工事に伴うタイル資材や住設機器の販売高はそれぞれの工事部門に含まれている。 a) 外壁工事 一般住宅や小型マンション、店舗等の内外壁タイル、床タイル、エクステリア等の工事を行う。タイルだけでなくサイディングなど様々な素材に対応している。 b) 住設工事 主にシステムキッチン、バス・トイレ等の水回りや各種リフォーム工事、太陽光発電システムの設置工事等を行う。基本的には外壁工事とは別受注となるが、案件によっては同時受注となる場合もある。バスルームの工事件数は年間2万件近くに上り、国内でも有数の規模を占める。 c) 建材販売 一般住宅、店舗、中小マンション向けの各種建材の卸売りを行っている。なかでも、タイル建材の販売が比較的多い。主な販売先は工務店や地場のハウスビルダーといった企業で、二次卸業者への販売は行っていない。 d) 住設販売 建材販売と同様に工務店や地場のハウスビルダーなどへ住設機器の販売を行っている。 (2) 大型物件事業 工事内容は戸建住宅事業とほぼ同じであるが、大手ゼネコンを受注先とする点が異なる。主な対象はビルやマンションなどの大型物件である。特に大林組<1802>、(株)鴻池組、長谷工コーポレーション<1808>からの受注が比較的多い。 a) タイル販売・工事 内外装タイル、床タイル、石材の販売及び工事などを行う。 b) 住設販売・工事 システムキッチン等のマンション住宅設備やビル空調設備などの販売及び工事を行う。 3. 主な仕入先と販売先 同社の得意先は大手ゼネコンをはじめ約7千社に上る。ただ、これらの顧客は常に案件があるわけではなく、また1件当たりの金額が数百万円から1億円以上と幅広いため、未収入金管理が経営上の重要な要素となる。主な仕入先は建材や住設機器ではLIXIL<5938>が最も多く、そのほかTOTO<5332>、リンナイ<5947>、クリナップ<7955>、大建工業(株)などが含まれる。また、工事を行う下請け業者は大小合わせて2千社近くに及ぶが、このうち半数近くは同社専業の下請け業者である。 4. 競合、特色、強み 同社のような外壁工事や建材・住設機器の販売を行っている企業は数多くあり、それぞれの分野で多くの競合会社が存在する。事業全体において競合会社を挙げるのは簡単ではないが、強いて挙げるならば、(株)小泉や渡辺パイプ(株)が挙げられる。ただし、外壁工事の分野では、近年は施工会社が減る傾向にあり競合会社は少なくなっている。このような業界環境において、同社は、以下の特色を生かして同業他社との差別化を図っている。 同社の特色の1つは、総合技術研修センターである。ここでは、多くの子会社や下請け企業に対して専門性の高い技術研修を実施し、施工を支援している。また、同社が研修を行うことで、様々な工種への対応を可能にしている。さらに、このセンターで各現場の施工進捗を半年に1回チェックしており、個人差による工事仕上がりのばらつきを抑制している。 自家保険制度を設けていることも、同社の特色の1つである。これは下請け業者から出来高の一部を徴収して協力会社にプールする仕組みであり、万が一下請け業者(作業員)が事故等で業務を行えなくなった場合に、協力会社で定められた規程分の所得を補償する。この制度により、同社と下請け業者との信頼関係が強化され、職人の定着率の向上や工事の仕上がり精度の高まりにつながっているという。 また、同社は通常の売上管理や原価管理・工事進捗管理に加え、請求管理・入金管理・未収入金管理について徹底した管理を実施している。各案件において仕入と売上を少額であっても行単位で管理し、損益計算書上の管理だけでなく貸借対照表上の管理・チェックを行う。近年では建材販売を行う企業が工事施工分野に進出するケースは多いが、未収入金管理の複雑さや手間が「見えない参入障壁」となり、競合企業の多くは工事事業から徹退しやすい傾向にあるという。貸借対照表上の管理については、工事の進捗状況を見極める能力が重要であることから、これは同社の特色であり評価できる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) 《HN》 記事一覧 |