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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/05/13 09:17, 提供元: フィスコ ヌーラボ:「Backlog」の有料ユーザー数増加、既存グループウェア市場のシェア奪取を狙う*09:17JST ヌーラボ:「Backlog」の有料ユーザー数増加、既存グループウェア市場のシェア奪取を狙うヌーラボ<5033>はプロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」が主力で、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、ヌーラボ製品のセキュリティとガバナンスを強化する「Nulab Pass」も提供。主力の「Backlog」は、チームで協力しながら作業を進めるためのコラボレーション型プロジェクト管理ツールで、主に SaaS 型で提供している。また、プロジェクト管理に必要な機能(タスク管理、進捗管理、ファイル管理、モバイル対応など)が1つに集約されているほか、コラボレーションを加速する様々な機能を付与している。対象ユーザーは、大手通信キャリア、金融機関、製造・販売、サービス業や官公庁など、大企業から中堅中小企業まで幅広い顧客ラインナップとなる。用途はソフトウエア開発から保守運用、デジタルマーケティングキャンペーンの管理、ウェブサイトの制作、バックオフィス業務まで多岐にわたる。そのほか、「Nulab Pass」は、ユーザー当たり330円/月でSAML認証方式によるSSO等セキュリティ強化オプションを提供している。 類似するツールとしては、Jira、Asanaといった外資系のソフトウエア会社が提供するものが代表的であるが、「Backlog」は一部のプランを除く主要プランは定額でユーザー数無制限での利用が可能となるサブスクリプション型の料金体系を採用している。また、契約主体以外のクライアント・ベンダー等の招待が可能であるため、社内のプロジェクトにとどまらず、複数の法人や組織にまたがったプロジェクトで利用が容易となる特徴がある。これにより、協力会社とのコラボレーションの場面でも多く活用され、自社で未導入であっても Backlogの活用体験が広がり、結果としてリファラルでの導入比率が高いサービスとなっている。絵文字の採用や柔らかな色使いのUI(ユーザインターフェース)によって、ITツールへの抵抗感を軽減し、非エンジニアであってもプロジェクト管理がしやすくなる操作性を目指している。 2025年3月期第3四半期累計の売上高は3,059百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益は562百万円(同28.5%増)で着地した。「Backlog」の有料契約件数・有料ユーザー数は想定を上回って着地、有料ユーザー数は143万人(2024年12月末時点)となった。また、月次解約率は期初想定を下回る水準で推移。2021年12月の「監査ログ」提供開始以降の成長を継続し、「Nulab Pass」は64,000ライセンス(監査ログ提供開始以降約21倍)を突破した。Backlog新規導入顧客に対するセールスチームのクロスセル提案活動等により、獲得ライセンス数の成長が加速しているようだ。 合わせて通期業績予想を上方修正しており、売上高は前期比12.2%増の4,108百万円(従来計画3,937百万円)、営業利益は同80.7%増の600百万円(同406百万円)に引き上げた。Backlogの有料契約件数が期初想定を上回って推移したほか、全社人件費(労務費を含む)やAWSの最適化等によりサーバー費用(通信費)が期初計画を下回って推移したことが寄与しているようだ。第4四半期では、品質向上や効率化、ユーザーエクスペリエンスの向上のための追加投資によるサービス基盤の強化のほか、中長期的な組織強化のため、教育研修や従業員エンゲージメント向上を目的とした追加施策および新規事業の創出に向けた支出を継続することや、広告宣伝費の月ずれ分が費用計上される。 同社は今後、国内市場における「Backlog」の事業拡大を軸としつつ、ヌーラボサービス全体を利用できる「ヌーラボアカウント」をハブにサービスを拡大し、Cacooほか自社サービスのラインアップの充実と共に、他社サービスともコラボレーションすることで全社改革を支援するプラットフォームを目指していく。市場環境では、プロジェクト管理に課題・不満を抱えているユーザーは少なくない一方、現状プロジェクト管理ツールは利用率が低く、今後の拡大余地は大きいと見込まれているため、同社の競争優位性を生かして既存グループウェア市場のシェア奪取を狙っていく。そのほか、新規事業創出プログラム「Nu Source(ヌーソース)」を発表しており、2025年2月から新規事業アイデアの公募を開始した。AI、XR、IoT等の技術を用いて、新規事業のアイデアを社内外から募って新たな事業を創出する。「Backlog」有料ユーザー数の推移が堅調に増加する中で、中長期的な成長戦略も想定している同社の今後の動向に注目しておきたい。 《HM》 記事一覧 |