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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/07/02 14:03,
提供元: フィスコ
澁澤倉庫 Research Memo(3):倉庫業を祖業に物流事業と不動産事業を展開
*14:03JST 澁澤倉庫 Research Memo(3):倉庫業を祖業に物流事業と不動産事業を展開
■事業概要
(2) 国際ロジスティクス
澁澤倉庫<9304>は、通関・輸出入海貨業務、国際輸送、海上輸送、航空輸送など輸出入フォワーディングサービスや、海外現地法人による総合物流事業を行っている。また、顧客に代わってこうした輸出入手続きを行うBPO(Business Process Outsourcing)サービスも提供している。
通関・輸出入海貨業務では、AEO(Authorized Economic Operator)認定通関業者として、専門知識を持つスタッフや通関士を全国の主要な港や空港に配置している。これにより、専門的なノウハウが必要な通関を含め、日用品・アパレル・化学品・食料品・機械類など多岐にわたる商品の通関を行っている。国際輸送サービスでは、中国・香港・ベトナム・フィリピンをはじめ、世界各地にある海外現地法人や提携代理店と連携し、グローバルネットワークを構築し、陸・海・空の輸送モードの最適な組み合わせによる国際輸送サービスを提供している。三国間輸送や非居住者在庫など多様なニーズに対応しており、様々な企業に対し、効率的で最適なDoor to Doorサービスを提供している。海上輸送では、NVOCC(Non Vessel Operating Common Carrier)※として、コンテナ貨物・混載貨物の海上輸送サービスや、Door to Doorの複合一貫輸送サービスなどを提供している。自動車部品や化学品など、豊富なベース貨物を確保することで、コスト競争力とスケジュールの多様性が同社の強みとなっている。航空輸送では、IATA(国際航空運送協会)の公認代理店として、精密機器から自動車部品、化学品原材料、食品・イベント輸送に至るまで、幅広いサービスを提供している。
※ 船舶や航空機を持たない貨物利用運送事業者。
海外事業は同社にとって成長分野で、現在、中国、香港、ベトナム、フィリピンに現地法人を置いている。中国では自社車両や自社倉庫を保有し、上海と広州を中心に自動車など機械部品や家電品、化学品、日用品などの貨物を取り扱い、輸出入フォワーディング、流通加工、陸上・海上輸送などの総合物流サービスを提供している。広州では、香港やベトナムと華南を陸路で結ぶクロスボーダー輸送サービスも手掛けている。香港では、輸出入フォワーディングなどに加え、コールドチェーン物流を活用した日本食材のレストランや個人宅向け宅配事業を展開している。ベトナムでは、ホーチミンとハノイの2拠点で輸出入フォワーディング、陸上運送、保税倉庫管理といったサービスを提供している。自動車部品をはじめとするベース貨物の大口取扱数量を強みとした海上運賃のコスト競争力や、急なニーズにも対応できる輸送能力にも定評がある。また、持分法適用関連会社で、内航船による海上輸送を含む、ベトナム全域の物流ネットワークを活用した総合物流サービスを行っている。フィリピンのマニラでは、オペレーション対応力と輸送スケジュール提案力を強みに、日系企業向け輸出入フォワーディングサービスのほか、日本製の食品やワインの輸入一貫サービスを提供している。
(3) 情報システム
大量かつ複雑な物流を効率的に運用するうえで、高度な情報システムは大きな差別化要因となる。同社は、日付管理や在庫の一元管理などを商品特性ごとに最適化した倉庫管理システム(WMS)、NVOCC・海貨・航空貨物・通関業務の各システムを統合しプラットフォーム化した、輸出入荷捌き・航空貨物システム、全国の配車情報を一括管理して無駄のない効率的な車両運行を行う陸運配車システム、飲料専用WMSの、4つの高度な総合物流システムを保有している。これにより、顧客それぞれに最適な輸送モードや貨物管理を提供し、陸・海・空ワンストップの総合物流サービスを実現している。さらに、高度な要求にも応えられるよう、貨物トレースシステム・GPS機能といった最新機能との連携も進めている。
(4) 不動産事業
同社は長年にわたり好立地で倉庫業を営んできたため、施設のなかには時代の変化とともに周辺が宅地化・都市化され、不動産としての価値が高まる一方、物流での使用に適さなくなる状況が生じている。不動産事業は、そうした物件を有効利用するため、オフィスビルや物流施設、高付加価値物流施設に再開発し、賃貸することを推進している。現在では多数の賃貸ビルを保有し、安定した収益源となっている。代表的な賃貸オフィスビルには、東京地区に澁澤シティプレイス(茅場町)や澁澤シティプレイス永代、澁澤ビル、澁澤シティプレイス蛎殻町、関西地区にドーミー三宮などがある。今後は、CRE戦略※の加速や環境に対応したバリューアップ投資により収益性を向上させるとともに、物流と融合した新たな価値の創造や不動産専業の事業パートナーとの連携による再開発事業への取り組みも積極的に検討する。
※ 企業価値向上の観点からCRE(企業不動産:事務所や店舗、工場など事業用不動産)の見直しを行い、不動産投資の効率性を最大化する戦略。
一方、グループ会社の澁澤ファシリティーズ(株)では、各種法令や設備の専門知識を持つスタッフが、工事・ビルマネジメントサービスを提供している。ビルの管理では、設備管理から警備、清掃、環境衛生管理に至るまでのマネジメントサービスを行う。また、同社が運営する施設の診断や補強、更新の際には建設工事や設備工事、内装工事など各種工事も請け負っており、利用者にとって快適で安全・安心な職場環境を提供している。
物流の専門性・DXで競争力強化、モーダルシフトにも強み
3. 同社の強み
物流における強みは、専門性の追求、DX、業域の拡大、モーダルシフトのノウハウにある。こうした強みを積極的に活用することで、競争力の強化、収益機会の多様化、事業の拡大を推進している。
専門性の追求では、飲料や日用品など専門特化したノウハウや、アパレル・コスメのような多品種小ロット貨物の効率的運営モデル、医療機器や危険品などの取扱いノウハウを持つ。さらに、東名阪や千葉地区でのドミナント展開により、利便性を追求している。DXでは、自動搬送機や無人搬送フォークリフトを導入し、マンパワーとオートメーション(自動化技術)を組み合わせたハイブリッドオペレーションモデルを構築することで、繁閑の波動を吸収し、業務効率化を実現している。また、車両・配車データのデジタル化により、車両の運行効率を高め、収益性を向上させている。業域の拡大では、顧客のニーズに基づき、流通加工・生産受託、BPO、物流コンサルティング、4PL(包括物流管理)、海外といった物流や物流周辺の事業を積極的に拡大している。なかでも注目されるモーダルシフトへの対応では、フェリー輸送を事業の柱とする日正運輸(株)と鉄道輸送を柱とする大宮通運(株)の子会社2社が、顧客のモーダルシフトへの要請を機動的に受ける体制を敷いている。このような強みを最大限に活用することで、顧客や商材に適した柔軟で機動的な物流サービスをトータルで提供している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HN》
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