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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/05/13 15:33, 提供元: フィスコ

アセンテック Research Memo(3):仮想デスクトップ、クラウドインフラ、クラウドサービスを展開

*15:33JST アセンテック Research Memo(3):仮想デスクトップ、クラウドインフラ、クラウドサービスを展開
■アセンテック<3565>の事業概要

1. 事業内容
インターネットの普及に伴い、サイバー攻撃などに対するセキュリティ対策の重要性が高まるなか、同社は仮想デスクトップに関連する製品開発、販売及びコンサルティングサービスの提供をしている。コンピュータの仮想化のためのソフトウェア及びネットワーク機器の開発・販売などを手掛ける米国Cloud Software Group,Incなど海外メーカーのディストリビューターとなり、国内仕入れについても大手ベンダーのパートナー契約を締結している。また、仮想デスクトップに関連する製品を開発・販売し、仮想デスクトップシステムを構築する際には、専門性の高いエンジニアがコンサルティングから構築のシステムインテグレーションを行う体制を整えている。

(1) 仮想デスクトップ
仮想デスクトップは、多数の利用者の手元のPC(デスクトップ)のCPU、メモリー、OS、アプリ、ブラウザーなどのコンピュータ資源を、サーバー側に持っていく技術である。端末にデータを保存しないため、コンピュータウイルスや端末の紛失・盗難によるデータ流出のリスクが低減されるというセキュリティ上のメリットや、利用者を一元管理することで情報システム部門の運用管理の負担が軽減されるというメリットがある。ほかにも、場所や利用端末にとらわれない新しいワークスタイルの「ハイブリッドワーク」によるより快適な業務の遂行や、通勤や移動にかかるエネルギー消費量の削減、またBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策といったメリットも注目されている。

同社は仮想化ソフトウェアとしてCitrix製品を中心にVMwareなどの製品も扱っている。仮想デスクトップは、サーバー側にPC(デスクトップ)を仮想化し、画面転送で端末側に配信するもので、利用者は場所や端末を問わず、仮想デスクトップ上の自身のPC(デスクトップ)環境にアクセスが可能となっている。シンクライアント端末は、Atrust Computer Corp.やDellなどのものを販売している。

自社製品として「Resalio Lynx」シリーズを展開しており、既存PCにUSBを挿すだけでセキュアに仮想環境へ接続できる、秘匿領域を持ったUSBシンクライアントソリューション「Resalio Lynx」や、LTEで基地局に接続する機能をバンドルした、セキュアで低コストのリモートワークソリューション「Resalio Connect」、低コストで既存Windows PCをシンクライアント化できる「Resalio Lynx 700」などがラインナップされている。「Resalio Lynx」シリーズが自社製品、プロフェッショナルサービスが自社サービスで、いずれも収益が持続するストックビジネスである。

(2) クラウドインフラ
クラウドインフラでは、リモートPCアレイ、HPEやDell、Lenovoなどのサーバーやストレージ※1、Nutanixなどのハイパーコンバージド製品※2、リモートPCアレイなどの自営保守(自社サービス)を提供している。このうちリモートPCアレイは仮想デスクトップシステムと同じメリットが享受できるハードウエア製品で、必要なCPUやメモリー、ストレージ、OSを一体化した物理PC(PCカートリッジ)を、20台〜30台まとめて1筐体として提供する画期的な製品である。従来の仮想デスクトップにおいて必須であったハイパーバイザー※3ソフトウェアを不要にしたことで、仮想デスクトップの導入障壁となっていた、ライセンスコストや技術要員コスト、設計や導入の時間を削減し、構築のコストを下げることが可能となった。リモートPCアレイは同社による自社企画製品で、台湾のAtrustに製造を委託し、世界で同社しか販売していない。なお、リモートPCアレイのための自営保守は、自社サービスによるストックビジネスとなっている。

※1 ストレージ:コンピュータにおけるデータを保存する補助記憶装置。
※2 ハイパーコンバージド製品:サーバーの仮想化に必要なハードウェアとソフトウェアが1つにパッケージされた製品。
※3 ハイパーバイザー:1台の物理コンピュータを論理的に分割し複数のコンピュータとして稼働させるための基本ソフトウェア。

(3) クラウドサービス
Citrix Cloudを中心にクラウドサービスを提供している。クラウドサービスはストックビジネスである。


仮想デスクトップは、セキュアなハイブリッドワークを実現する有効な手段に

2. 市場と流通
リモートアクセスの市場は、コロナ禍のテレワークシフトによって需要が急拡大したが、コロナ禍後は出社回帰のトレンドのなか伸び悩んでいるように見える。しかし、テレワークと出社のハイブリッド化やフリーアドレスなど働く形態が複雑化しており、管理すべきポイントがむしろ増えている状況である。加えて、サイバー攻撃などによるデータ盗難やデータ損失といった脅威が増していることを考えると、セキュリティの有効な手段として、リモートアクセスソリューションの1つである仮想デスクトップについては、中長期的な成長性は高いと言えよう。同社は、Cloud Software Group,IncのCitrix商品及び国内外の先進的プロダクト、リモートPCアレイなどの自社製品、プロフェッショナルサービスなどの自社サービスを、システムインテグレーターなどを通じてエンドユーザーに提供している。なお、2024年にCloud Software Group,Incとの資本業務提携のなかで設立した100%子会社のCXJが、2026年1月期以降、Citrix及びCitrixのネットワーク製品であるNetScalerの国内販売を担うことになる。


強みはCitrixと自社製品

3. 同社の強み
同社の強みは、間接販売モデルであること、仮想デスクトップに特化して強力な仕入れルートとオリジナル商品を持っていること、国内最大規模の仮想デスクトップのシステムエンジニアを擁していることに加えて、成長戦略が確実に実行できていることである。CitrixはMicrosoftと創業来アライアンスを続けたため、仮想デスクトップシステムの中ではMicrosoft Officeを動かす操作性に一日の長があると言える。また、大規模なアカウント管理に優れ、回線遅延が小さく、トラブルシューティングの使い勝手が良い。さらに、同社はかなり早い段階からシトリックス・システムズ・ジャパンと提携し、Citrixの販売を続けることで積み重ねてきたノウハウや経験が、Citrixの販売力となって現れている。

自社製品の中でもリモートPCアレイは、仮想デスクトップで培ったノウハウを取り込んでバージョンアップを繰り返し進化したこともあり、市場で評価されていると言えよう。足元の売上高急増からわかるように、こうした強みによって仮想デスクトップ構築案件が同社に集中しやすくなっているようだ。リモートPCアレイについては、特に厳重に管理することが必須となっている自治体のマイナンバーカード関連業務は、コストや操作・サポートといった面で、人口10万人に満たない中小の自治体でも利用できる製品のため注目を集めている。なお、同社は収益が安定して積み上がるストックビジネスを重視している。また約8割がパートナー経由の間接販売のため、売上高の増加ほどにコストが増えない収益構造になっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


《HN》

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